■■■ チームビルディングの必要性 ■■■ |
そもそも組織の能力とは、個人の能力が最大限に発揮されることが前提で、しかも個人の能力を足し集めた以上の成果を目指している。それにも関わらず、組織が大きければ大きいほど、逆に、個人の能力を最大限に発揮しようとしない人が増えてしまう。
従って、昨今は、小回りのきく小規模な組織による効率的な経営が追求されており、「企業=少人数のチームの集合体」という考え方が浸透しつつある。すなわち、企業の優位性確保のためには、チームの運営能力がこれまで以上に問われている。
能力や個性の異なる個人が集団を形成し、それがいかにして有機的につながってチームという生き物となるか。そして、それがどのようにして高いパフォーマンスを発揮するようになるのかを考える必要がある。
■■■ チームとグループとの違い ■■■ |
多くの企業で、「グループ」という言葉と「チーム」という言葉とを明確に区別して使っていないのが現実だ。チームの威力を発揮させたいと考えるなら、まずは、グループとの区別を明確に意識することから始めなければならない。
「グループ」は、特定の目的を達成するために集まった複数の人々、ただそれだけである。従って、その業績は個々のメンバーの貢献の総和、それ以上にはなり得ない。ひとりひとりが単に足し算でつながっているイメージだ。
一方、「チーム」とは、グループの中でも協調を通じてプラスの相乗効果を生んでいるものを指す。チームの努力は、個々の投入量の総和より高い業績をもたらす。チームはひとりひとりが掛け算でつながって全体を形成しているイメージだ。
従って、メンバリング(作業グループの編成)によってできた「グループ」を「チーム」として機能するようにするのがチームビルディングといえる。
■■■ 真のチームとは? ■■■ |
効率的で生産的、かつ、協力的で効果的な「真のチーム」の特徴を理解することは、チームビルディングの成功のカギを理解することである。結論から言うと、真のチームとは、次に述べる「ダイナミクス」と「フォーカス」が揃っているチームだ。
ダイナミクスとは、「チームの構成メンバーの多様性から生まれる、動的なエネルギー」のことをさす。チームの構成メンバーがバラエティに富んでいると、相互に補完しあえる領域が広く、また、相互作用で生まれる新しいアイデアやイノベーションの幅も広がる。
一方フォーカスとは、「チームのコントロールを生む源泉となるもの」と言い換えることができる。フォーカスがあるチームは、目的や方針や目標、達成すべき期待成果といったものが明確にあり、また共有化されている。理念や価値観や使命感など、チームの根底をなす認識に統一感がある。
ダイナミクス、すなわち、各人の専門性やタレント性のバラエティの豊かさがあってはじめて、チームはチームとしてのエネルギーを有することができ、そして、フォーカスがあってはじめて高い専門性や豊富なタレント性がチームの推進力になるのだ。「ダイナミクス」と「フォーカス」、この両輪が揃ったときに初めて、チームは“真のチーム”として機能し始めることになる。